Ledgerのステーキング用語集

最近、世界で2番目に重要なブロックチェーンであるイーサリアムが、プルーフ・オブ・ステークのコンセンサス（合意）メカニズムに移行したことで、ステーキングについて新たな関心が高まっています。 そのためここで、それについて理解してしまいましょう。

ステーキングは、暗号資産空間に特有の、非常に人気のあるオプションです。 ステーキングにより、暗号資産所有者はプルーフオブステーク（PoS）またはデリゲート（委任）されたプルーフオブステーク（DPoS）ネットワークのセキュリティ保護に参加できるようになります。 一方で、非アクティブな（使っていない）コインで受動的収入が得られる可能性もあります。

しかし、ステーキングに関する言い回しや専門用語は非常に専門的であることが多く、新規参入者が参入する妨げとなっている場合があります。

この用語集では、Ledger Academyがステーキングの謎を解き明かし、あなたが優位に立てるようにお手伝いをします。 知識のレベルに関係なく、この分野で使用されている重要な用語を提示して、解き明かしていきますのでお楽しみください。

ステーキング用語集

Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)

プルーフ・オブ・ステーク（PoS）は、トランザクションの新しいブロックをブロックチェーンに追加するためのルールを定義するアルゴリズムです。 また、「コンセンサス」を達成する方法によって定義していきます。 これは、新しい情報ブロックがチェーンに追加するのに十分な精度であることに、ネットワークノードが同意したときに行われます。

例えば、ビットコインは、プルーフ・オブ・ワーク（POW）をコンセンサスメカニズムとして使用しています。 POWでは、ブロックのハッシュが、ネットワークによって自動的に設定された目標値を下回っている場合にのみ、新しいブロックを追加できます。 マイナーが値をランダムに発見するまでには、何兆回もの推測が必要になる場合もあります。 それを最初に発見した幸運なマイナーは、自分のブロックをブロックチェーンに追加することができます。 そのシステムの詳細については、こちらをご覧ください。

一方で、プルーフ・オブ・ステークのネットワークは、ステーキングされた暗号資産によって自身を保護します。 コンセンサスに参加するために、バリデーターノードはすべて、ネットワーク上のETHからなるセキュリティデポジットを「ロック」しておく必要があります。 そうすることで、ネットワークを安全に保つことができます。なぜなら、そのネットワークは、その暗号資産を担保として使用して、それらのノードが、新しいブロックを検証するときに適切に動作するように強制するからです（詳細については、以下のスラッシングセクションでご説明します）。

さまざまな種類のステーキングについてご説明するこちらの記事で、その仕組みについての詳細を読むことができます。

プルーフ・オブ・ワークのブロックチェーンと比較して、プルーフ・オブ・ステークは、トランザクションの処理に使用するエネルギーが少ない傾向にあります。なぜなら、電力（および高価なハードウェア）の代わりに、ステーキングされた暗号資産を主要なリソースとして利用するからです。

ただし、同時に、これは比較的新しいシステムで、まだ完全な開発段階にはないことも認識しておく必要があります。 そのため、セキュリティの効率性や脆弱性を含め、プルーフ・オブ・ステークの全容は、まだ十分に理解されていません。

バリデーターノード

バリデーターは、ブロックチェーンのコンセンサスに参加するプルーフ・オブ・ステーク・ネットワークのノードの一種です。 バリデーターは、ブロックチェーンのセキュリティにおいて重要な役割を果たします。 バリデーターは、ブロックチェーンに永続的に追加する前に、トランザクションの新しいブロックがすべて有効で正しいことを検証する責任があります。 バリデーターノードはそれぞれ、ブロックチェーン履歴の同じコピーを持っています。この共有履歴を使用して、 トランザクションの新しいブロックをメインチェーンに追加するかどうかに対して投票する前に、それらのブロックが有効かどうかを検証するために通信します。

バリデーターノードが無効なトランザクションまたはブロックを検出すると、それを拒否し、ネットワークに拒否を伝えます。

バリデーターノードになるには、バリデーターは、ネイティブ暗号資産の最低額をデポジット（入金）/ステーキングする必要がある場合があります。 入ってくるブロックを検証する代わりに、バリデーターは、ネットワークからそのネイティブコインの形で報酬を受け取ります。

Ledgerは、Figmentステーキングソリューションと提携し、皆様がお気に入りのプルーフ・オブ・ステークネットワークを保護して、LedgerバリデーターノードでのステーキングAPY（年利）を生成するシームレスな方法をご提供します。

デリゲート・プルーフ・オブ・ステーク

デリゲート（委任）・プルーフ・オブ・ステークは、プルーフ・オブ・ステークのコンセンサス・メカニズムのバリエーションです。 ここで、ネットワークのユーザーは、代わりに新しいブロックを検証するバリデーター（このシステムでは「デリゲート（委任された人）」または「証人（Witness）」と呼ばれる）に投票権をデリゲート（委任＝この意味では動詞。上記の意味では名詞）できます。

それぞれの新しいブロックの検証後、プールに貢献したユーザーは、デリゲートされたコインに比例した報酬の分け前を受け取る一方、デリゲート（委任された人）はコミッションを保持します。

選択されたデリゲートは変更可能です。また、投票は評判に基づいており、どのデリゲートのパフォーマンスが最も優れているかを反映するように変更することもできます。 理論的には、それによってネットワークのセキュリティとユーザーの報酬の両方にとって最良の結果をもたらします。

このプロセス全体は、ユーザーのコインが暗号資産ウォレットに残っている間に行われます。 コインはデリゲートにコミット（ロック）されますが、ユーザーの暗号資産ウォレットに残ります。

ボンド/ボンド解除期間

このプロセスをどれだけよく理解していても、ステーキングには単純な「オンとオフ」のスイッチはありません。 コインをステーキングするプロセスは、「ボンド」および「ボンド解除」期間としても知られる、移行期間によって区切られます。

• ボンド期間

ボンド期間は、暗号資産をステーキングしたいことをネットワークに伝え、その意図が開始されるのを待つプロセスです。 この期間中、コインによる報酬は得られません。 これは純粋に、あなたのステーキングの意図を示すものとして機能します。 このボンド期間の長さは、ネットワークによって異なります。

• ボンド解除期間

同様に、コインのステーキングを解除したい場合にも、「ボンド解除期間」に従います。 ここでは、プロトコルからコインのステーキングを解除し、コインの完全な自律性を取り戻したいことをネットワークに伝達するのです。 繰り返しになりますが、これは個々のネットワークによって設定された期間であり、ユーザーはこの期間中は報酬を獲得できません。

ステーキングを開始する前に、ネットワークのボンド期間とボンド解除期間を知っておくことが重要です。 これらの期間は、コインがコミット（拘束）される最小期間だけでなく、コインが報酬を獲得できる期間の割合も決定します。

ネットワークが異なれば、ボンド期間とボンド解除期間も異なります。 特定のブロックチェーンでコインをステーキングすることを検討する際はいつでも、この情報を確立することが不可欠です。

イーサリアムの出口キュー－進行中の作業

本稿執筆時点で、イーサリアムは、この空間では異常事態となっています。なぜなら、イーサリアムネットワーク上にステーキングされたコインの引き出し機能を有効にしていないからです。 プルーフ・オブ・ステークへの移行以来、イーサリアムプロトコルにステーキングする人は、そのアップグレードの完了時に引き出し機能が導入されるまで、その合計数量のステーキングを解除できません。 これは、2023年3月の上海アップグレードに伴い、ボンド解除期間が発表される予定です。 そのため、その日にユーザーは、ロックされたイーサリアムのステーキングを解除できます。

サービスとしてのステーキング（SaaS）

サービスとしてのステーキングは、仮想通貨取引所などの中央集権型機関によって提供される傾向があります。 一言で言うと、プロセスの仕組みを知らなくても、誰でもステーキングの受動的収入が得られるようになるのです。 これは、フルノードを実行する煩わしさを避けるためによく行われます。

サードパーティのステーキングプロバイダーは、通常は月額料金で、あなたに代わってバリデーターノードを運用します。 そのバリデーターでコインを「ステーキング」して報酬を獲得し始めるには、ユーザーは関連するステーキングウォレットにコインを預ける必要があります。 言い換えると、ユーザーはそれらのコインを管理することができなくなります。

つまり、メリットは使いやすさです。 ユーザーは、コインをウォレットに送付すること以外に技術的な知識を必要としないため、欠点としては、ステーキングしたコインに対するセルフカストディ（自己保管・自己管理）が失われることです。

ステーキングプール

ステーキングプールとは、バリデーターノードを有効にするのに必要なしきい値を取得するために、暗号資産を一緒にプールする（貯めておく）ユーザーのグループです。 この好例は、RocketPoolミニノードです。

そのノードがトランザクションの新しいブロックを検証すると、ユーザーがプールにどれだけ貢献したかに応じて、報酬がユーザー間で共有されます。 これにより、より多くの人々がステーキングのオプションにアクセスできるようになります。これは、個人がノードを実行するために重要な初期しきい値を超える必要がなく、代わりに集合的に行われ、プロトコルを介して管理されるためです。

ステーキングプールのユーザーには、もう1つの大きな利点があります。それは、コインがウォレットから離れることなく、プールにコミット（ロック）できることです。 ステーキングプールを使用すると、ステーキング中でも暗号資産のセルフカストディを楽しむことができます。

リキッド（流動性）ステーキング

ご存知のように、コインをステーキングするということは、コインを特定のネットワークまたはプロトコルにコミット（ロック）することを意味します。 その間、このようなコインをトレードなどの他の目的に使用することはできません。これらのコインが非流動的であるためです。

LidoやFrax Financeのようなリキッドステーキングプラットフォームは、それに代わる選択肢となります。 これらのプラットフォームは、ステーキング参加者に、ステーキングされたコインの作成可能な「レシート」を提供します。 このレシートは、ステーキングされたコインをトークン化して表したものです。 これは、DeFiシステムの他の場所で、取引や担保として使用できます。

つまり、リキッドステーキングを使用すると、ステーキング報酬の恩恵を受けることができます。 ステーキングしたコインによって得られたかもしれない他の機会を失うこともありません。

ステーキング報酬

ステーキング報酬は、ネットワーク上でコインを直接ステーキングするか、ステーキングプールにコインを貢献することに対して、個人に支払われるインセンティブです。

バリデーターとして直接行動している場合、獲得できるステーキング報酬額はネットワークによって設定されます。 一方、単にステーキングプールに貢献している場合、予想される報酬はプロトコルによって決定され、ステーキングを開始する前に明らかになります。

APY

APY（年利）は、ステーキングした暗号資産から得られる利率を表す方法です。

これは、複利を考慮した実効年利です。 言い換えると、APYは、最初にステーキングした両方の合計に対して利子が得られることを意味します。 その合計に対してその後に得られる利息は、複利として知られています。

これが、複利についてユーザーが「与え続ける贈り物」だと言う理由です。

APR

APRは、ステーキング報酬を表すために使用される別の測定単位です。 この測定の特徴は、その利子を長期にわたって計算することです。 この利率はステーキングの合計にのみ適用され、その合計に対して時間の経過とともに得られる複利はありません。

例えば、暗号資産（10000 USD相当）を3年間ステーキングして、5%のAPRが得られるとします。

毎年、元のステーキング合計10000USDに対して5%のリターンが得られます。 元の合計のみが対象となり、開始以降に発生した利息は対象となりません。

スラッシング

スラッシングは、そのノードによる不正行為に対応して、ネットワークがバリデーターのロックされたコインの一部を差し引くプロセスです。 スラッシュにつながる可能性のある行動の種類には、利用不能などがあります。 例えば、頻繁にオフラインになり、ブロックに署名する番になったのに署名を怠ったり、二重署名を行ったり。

このような場合、ネットワークはバリデーターノードにペナルティを課します。 バリデーターが最初にロックしていた暗号資産の一部が差し引かれ（スラッシュ＝削減され）ます。 そうすることで、ブロックチェーンはバリデーターのネットワークに対して良い行動を取るようにインセンティブを与えます。 論理的には、バリデーターは自分のステーキングを失いたくないと思うでしょう。

スラッシングは、プルーフ・オブ・ステーク・プロトコルの重要な部分です。 保証金として機能することで、バリデーターを抑制するのに役立ちます。 また、それによりネットワーク全体のスムーズな実行を保証します。

ダウンタイム

ステーキングにおけるダウンタイムとは、バリデーターノードがオンラインでなく、トランザクションの検証に利用できない期間を指します。 これは、ノードの電源がオフになっているか、ネットワークから切断されていることを意味します。 また、ソフトウェアやハードウェアの障害など、より深刻な問題が原因の場合もあります。

どちらの場合も、ダウンタイムとは、ノードが長期間にわたってネットワークにサービスを提供できない場合のことです。 これは通常、ネットワークによる違反です。

ステーキングの準備が整いました

暗号資産と、それが提供するさまざまな新しい選択肢に関心を持つ人が増えるにつれて、 重要なさまざまな概念を理解するのに役立つ教材の需要が高まっています。

暗号資産の初期の世界に関して言うと、知識は力です。 これで、ステーキングに関連する専門用語の短期集中コースを受講されたので、ご自分でこの空間に参入する準備が整いました。 最後に、コインやトークンで何をするにしても、暗号資産のセキュリティは、常に最も重要な考慮事項であることをお忘れにならないでください。

知識は力なり。