Ledger Nano Sのサポートと改善
Ledger Nano Sは、暗号資産を保護における新しいセキュリティ基準となることを目的として、2016年6月に発売されました。 それから3年後、150万台以上販売されたNano Sは、暗号資産のコールドストレージにおける革命児となりました。
2016年以降、暗号資産市場におけるテクノロジーは大幅な進歩を遂げました。 何百もの新しい暗号資産が登場し、新しいブロックチェーンプロトコルが導入されています。 この3年間で、業界は大きく躍進しており、Ledgerも成長に合わせてイノベーションを起こさなければなりません。 それこそが、Ledger Nano Xが登場した理由です。
Nano Sの設計当時、セキュアエレメントに利用できるフラッシュメモリの容量はかなり限られていました。ST31H320は、セキュリティ面で最良の選択でしたが、ファームウェアとアプリケーションを合わせても320KBしか保存容量がありませんでした。 当時、時価総額の大きい暗号資産の数は、それほど多くありませんでした。他のプロジェクトも、基本的にBitcoinのクローンであり、共有ライブラリを使用することで対応アプリを大幅に縮小することができたため、問題とならなかったのです。
それから3年後、状況が激変。 暗号資産市場は大きな成長を遂げ、この成長を支えるために新たな暗号資産ライブラリが必要とされるようになったのです。 その結果、ユーザーは最高のセキュリティと新しい暗号資産の追加を求めるようになり、それに伴って発生する様々な大容量のアプリへの対応が迫られる事態になりました。
現在、Ledger Nano Sでは、現在のマーケットキャップの上位20位の中から3~7個のアプリを同時にインストール可能 (例:BTC/ETH/XRP/BCH/LTC/DASH/ETCを、1つのデバイスで同時に利用)。または、アプリのサイズに応じ、デバイス最大20個のディペンデントアプリを利用することができます(アプリの組み合わせ例はこちら )。
ここでは、今すぐNano Sにインストールできる、テスト済みの主なアプリの組み合わせの例をご紹介します。
これは、2019年6月4日時点の状況であり、アプリやファームウェアのサイズで変動する場合があります。
複数の暗号資産を管理する方法は、3つあります。
- Nano Sを1台使用:最も便利な方法とは言えませんが、必要に応じてアプリのインストールとアンインストールを行うことで、より多くの暗号資産を管理できます。 これは安全な方法です。この操作により、お客様の暗号資産に影響を与えることはありません。
- Nano Sを複数使用:すべての Nano Sに、同じ24単語のリカバリフレーズとPINコードを設定することで、完璧なクローンとして使用することができます。 Nano Sはそれぞれ異なるアプリに対応できるため、使用したい暗号資産により使うデバイスを選択することができます。 Nano Sの価格は、59€/$59とお求めやすくなりました。特別なカラーエディションにより、複数台を簡単に使い分けることが可能です。
- Nano Xにアップグレードする : Ledgerの最新ハードウェアウォレットは、最新のセキュアエレメントを搭載。2048 KBという空き容量を確保しており、現時点で同時に最大100のアプリへ対応可能なスペースを提供しています。 増加した容量とBluetooth接続が特徴のNano Xは、「今」の市場向けに特別に作られた、次世代ハードウェアウォレットです。
多数の暗号資産を管理したい方には、Ledger Nano Xの利用をおすすめします。
Nano Xは、Nano Sの改良版ですが、Nano Sのサポートやアップデートが終了するということではありません。Nano Sのユーザーは、Ledgerコミュニティの重要な一員であり、過去数ヶ月間に次のような新しい機能を展開し、サポートを継続しています。
- Nano SのLedger Live MobileアプリがAndroidと完全な互換性があることの確認
- 開発者コミュニティの支援により、当社のオープンソースプラットフォームを通じたNano S用の新しいアプリケーション(CardanoやBinance Chainなど)の導入
- Ethereumアプリのサイズを半分にして容量を増加
さらに今夏には、新しいファームウェアのアップデートを行って引き続きセキュリティを強化するとともに、新しいHSMを導入してアプリケーション管理のパフォーマンスを向上させていく予定です。 また、Ledger LiveでERC-20トークンを追加する作業も行っています。
Ledger Nano Sのコミュニティは、Ledgerにとって常に重要な存在です。Ledgerは、今後もNano Sのサポートと改良に努めてまいりますが、技術の進歩に伴い、2016年に開発した製品の限界も認識しております。
Nano Sを開発した当時、現在の暗号資産市場に必要な容量を持つセキュアエレメントは、まだ存在しませんでした。 世界有数の暗号資産セキュリティ企業を自負するLedgerは、Ledger Nano Xでこれを確実にするための努力を続けてきました。両製品とも、世界トップクラスのチームによって今後も改良とサポートが続けられる予定です。